インタビュー

2014.06.18 更新

妊娠葛藤相談と妊婦さんのホームステイ ~ライフホープネットワーク~

妊娠と中絶で悩む女性を支援するボランティアグループ、ライフホープネットワークの代表シンシアルーブルさんとカウンセラーの篠田恵見さんにインタビューしました。 

LHN 2014 (7)               Emi Shinoda

 

Q: ライフ・ホープ・ネットワークはどんな団体ですか?

A: 名古屋市中川区に位置し、思いがけなく妊娠し出産したり、赤ちゃんを育てることはできないと悩んだりしている女性の相談に応じ、一緒に最善の道を考え支援するために2005年から活動しているボランティアグループです。また、過去の中絶に苦しんでいる方がその苦しみから癒されるためのお手伝いもしています。

アメリカのNPOである「LIFEインターナショナル」のカウンセラーからカウンセラー・トレーニングを受けた女性がお話しを伺っています。

「ライフ・インターナショナル」とは、女性たちが予期せぬ妊娠を何とか乗り越えることができるようにとの願いから、カウンセリング・センターを世界中につくることを支援している、アメリカのボランティア団体です。

 

Q: 妊娠して悩んでいる方からの相談に、どのように支援をされていますか?

A: 「妊娠したことが近所や職場にバレると困る、暮らす場所がない」と困っている女性は、出産まで安心して滞在できる個室が2部屋あります。キッチンやお風呂・トイレは共同です。出産後に、シングルマザーを希望される方でも、養子縁組を希望される方でも、どちらでもご利用いただけます。妊娠された女性の区役所や病院への付き添いも必要に応じて行なっています。

養子縁組が本人にも子どもにも最善の方法だと思われるときは、提携する養子縁組団体に連絡して養子縁組の手続きをお願いしています。退院後、シングルマザーとして育てる場合は、産後2か月ぐらいまでホームステイが可能です。その間にその後の仕事や住居を探して自立を目指していただきます。

昨年は10名ホームステイをされた女性がいて、そのうち5名は赤ちゃんを養親さんに託しました。

 

Q: ステイするために何か条件はありますか?

A: 飲酒、喫煙は禁止です。部屋代は無料ですが、滞在費として一ヶ月1万円支払っていただくことにしています。そのほか、特別な理由がない限りは夜8時が門限、順番で料理を作るなど、日々の生活上のルールに同意しサインしていただく必要があります。

 

Q: 実際にどんな相談が多いですか?

A: 妊婦さんであれば、名古屋市内の区役所から紹介されて来られる妊婦さんが多くなりました。経済難があって生活保護を受けておられる方、DVを受けていた方、妊娠について家族が猛反対しているので家にいられない方、周囲に妊娠を隠して養子縁組をしたい方など様々です。

数年前に中絶後のカウンセリングをスタートしてからは、中絶後何年も経ってからでも抑うつや自責の念に悩んで連絡してこられる方が増えました。年間200件ほどの相談を受けますが、半分以上、昨年は3分の2の相談が中絶後の女性からでした。

 

Q: 名古屋市では妊娠相談窓口が増えていると聞きましたが・・・?

A: もともと愛知県の委託で、愛知県助産師会が「女性の健康なんでも相談」を月曜から土曜までやっていて、妊娠や出産、子育て、母乳相談、避妊、不妊、性の問題、思春期から更年期など広く相談にのっていました。今年度からは、名古屋市でも名古屋市医師会経由で愛知県助産師会に委託をし、「なごや妊娠SOS」というのを6月9日から月、水、金曜に始めることになりました。こちらは、思いがけない妊娠で困っている、育てられない、出産の費用がないなど、妊娠葛藤に特化したものとなります。

また、特定妊婦訪問支援モデル事業も名古屋市16区中、5区限定で5月から開始しています。これは妊娠8か月から産後2か月まで、社会的ハイリスクといわれる妊婦さんの自宅を助産師や保健師が10回訪問するものです。いずれも、困っている妊婦さんに必要な支援が届く窓口になるといいですね。いずれの事業にもライフホープネットワークの篠田が助産師として関わっています。

 

インタビューを終えて:

訪問させていただいた日は、養子縁組を考えている妊娠中の女性と、出産後シングルマザーとして再出発される女性がおられました。彼女たちの複雑な背景は想像がつかないほど、アットホームな雰囲気の中で、シンシアさんの息子さんも交えて和気あいあいと共同生活を送られていました。

妊娠した女性と赤ちゃんが幸せになるために、とにかく相談してほしい、というシンシアさん。区役所からも頼りにされているのは、地元で真摯な活動を続けてきたからこそだと感じました。

 

昨年、彼女が書いた文章の一部をここに紹介させて頂きます。

 

「困難な状況にある妊娠中の女性たちが助けを求めてくるとき、わたしたちは養子縁組の可能性について話します。すると、中絶を思いとどまり、赤ちゃんを産み、養子縁組を選択する女性が出てきます。出産後、予定通り赤ちゃんを養子に出す女性もいますし、自分で育てようと決心を変える方もいます。養子縁組の可能性が、出産を乗り越えるための勇気を与えるのです。

 

日本人の女性には、今も特別養子縁組についての知識があまりありません。もし誰も伝えなければ、別の選択を知らずに中絶する女性がいるでしょう。中絶のかわりに養子縁組を選んだ女性たちが、ハッピーエンドで終わる例をわたしたちはたくさん見てきました。その一方で、中絶を選んだ女性からの相談を、毎日のように受けています。彼女たちはしばしば、ふさぎこみ、自分が以前のようでいられないことに怒りを感じています。中絶の経験は本人や周りの人たちを長期間にわたって傷つけ続けることがあるのです。

 

日本の女性たちは、妊娠中に赤ちゃんの命を選ぶために特別養子縁組について知る権利があります。特別養子縁組は、母親と赤ちゃんの両方に、そして新しい両親にも希望と未来を与えます。それは命を選ぶことであり、死ではありません。」

  LHN 2014 (1)                        LHN 2014 (12)                        

 

 ライフホープネットワークのホームページ

   http://lifehopenet.com/