イベント・メディア情報

2016.12.01 更新

日本こども虐待防止学会で日本財団スポンサードセッションを行いました!

図1

会場の様子

図2

ロジャー・シングルトン卿

子どもが家庭で育つ社会に向けて
英国バーナードホームにおける家庭養護への転換に学ぶこと

2016年11月25日、日本子ども虐待防止学会の大阪大会で、日本財団によるスポンサードセッション「子どもが家庭で育つ社会に向けて」が開催され、子どもの福祉や医療に関わる300名近くの方々が集まってくださいました。
日本では今でも社会的養護にある子どもの大半である85%の子どもたちが施設で暮らし、15%が里親委託されています。しかし、2016年6月に改正された児童福祉法では、子どもを家庭と同様の環境で養育することが原則となりました。この法律の理念を実現することを目指し、イギリスからバーナードスの元代表(CEO)のロジャー・シングルトン卿をお招きし、英国の施設を運営する団体が、家庭養育の推進にどのような役割を果たしてきたのかを学ぶ機会を持ちました。

シングルトン氏からは、1866年に設立され大規模な孤児院を数多く運営していたバーナードスホームの当時の映像も紹介されました。施設では、きれいな服を着て、きちんと食事を与えられ、子どもを世話する大人もたくさん配置されている施設でしたが、施設で養育された子どもへのネガティブな影響が1951年にジョン・ボウルビィから報告されると、施設を縮小し、里親や養子縁組を通して子どもを家庭で養育するという方向転換を始めました。
バーナードスホームは1989年に最後の大規模施設を閉鎖し、名称をバーナードスと変更して、今では里親支援、養子縁組、身体障害時のサポートなどを通し、年間20万人の子どもたちへサービスを提供する英国で最大規模のNPOとなっています。 現在、英国で社会的養護下にある子どもたちの75%は里親家庭で暮らしており、11歳以下の子どもたちのすべてが施設ではなく家庭で暮らしています。
このように多くの子どもたちが家庭で育つ国となるために、いくつかの成功の要素が紹介されました。
1. 戦略的な計画(子どもを最も適した場所へ転居させ、その経験が本人にとってポジティブなものになるための計画)
2. 個々の子供を対象としたアセスメントと計画 (個々の子どもを対象とした総合的なアセスメントと転居計画)
3. 施設から家庭へと転居する子供と若者の意見を取り入れる姿勢
4. サポートサービスの開発と施設閉鎖の計画
5. 資源(資金・人材・物)を移譲する計画
6. 適切なモニタリングと評価(子供の健康・発育・与えられる機会における変化、財源の効果的な利用、サービスの持続性)

4のサポートサービスの開発については、例えばこのようなものが挙げられました。
1. ユニバーサルな医療、教育、社会福祉サービス
2. 弱い立場の子供と家族を対象としたサービス
3. 要となる場所にサービスを配置する(例:産院)
4. 予防/家族再統合
5. 緊急保護
6. 家庭でのケア-里親制度と養子縁組制度
7. 極めて少数のマイノリティー児童を対象とした小規模で特別な養護施設
8. 社会的養護を終了するときの支援
9. 社会的養護の後の支援サービス

このセッションの後、シングルトン氏には自民党議員、厚生労働省、施設・里親関係者の方々に対しても、子どもの施設養育を家庭養育へと転換していく方法や課題について語っていただきました。改正児童福祉法が施行されるにあたり、政策や現場での取り組みへの一助となればと願います。

【ロジャー・シングルトン氏 発表資料】
日本語版「子どもが家庭で育つ社会にむけて」

英語版 “Toward a society where children are raised at home”

バーナードホーム動画

バーナードホームのホームページ
http://www.barnardos.org.uk/what_we_do/our_history/history_faqs.htm

ルーモスのホームページ
https://wearelumos.org/

バーナードスとルーモスの日本語訳はこちらから
バーナドスとルーモス.pdf