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2014.12.27 更新

特別養子縁組とは・養子縁組に関する予備知識

原則として6歳未満の子どもの福祉のため特に必要があるときに、子どもとその実親側との法律上の親族関係を消滅させ、実親子関係に準じる安定した養親子関係を家庭裁判所が成立させる縁組制度です(6才未満から事実上養育していたと認められた場合は8才未満まで可能)。
そのため、養親となる者は、配偶者があり、原則として25歳以上の者で、夫婦共同で養子縁組をする必要があります。 また、離縁は原則として禁止です。
養親は子どもが小さい時から思春期時代、そして成人した後も支え見守り続けてくれる、永続的な親の愛情を提供する存在となり、子どもの健全な成長発達にふさわしい家庭環境を提供していきます。こういうわけで、2009年に国連総会で採択された「子どもの代替養育に関するガイドライン」では、産みの親とその親族の次に養子縁組が推奨されています。

■子どものための特別養子縁組

特別養子縁組は、子どもの福祉のためにあるものなので、「跡取りがほしい」「五体満足の子ども希望」「産みの親に病気がない子、胎内環境がよかった子希望」「子どもさえいれば夫婦関係がうまくいくはずなので」などという養親の希望によって進めるものではありません。特別養子縁組になる子どものほとんどは、予期しない妊娠、とくに貧困、レイプ、学生、風俗、パートナーの裏切りなど、女性にとってはとても複雑で苦しい状況の中から生まれてくる子どもです。つまり、愛情豊かに胎内で育まれ、平和な状況で委託に至るということはほとんどありません。どんな環境で芽生えた命でも、将来的にどんな病気や障害が出ようとも、自分の子どもとして一生責任をもって守り、愛情豊かに育てていく決意が養親には必要です。この決意は、自分が出産した子どもの場合でも同じでしょうから、特別養子縁組なら希望する子どもを選べるということはないはずです。

■養子縁組制度の主な違い

項目 普通養子縁組 特別養子縁組
名称 普通養子 特別養子
成立 当事者の縁組意思と届出(契約)。養子が15歳未満の場合は法定代理人の代諾で養親と契約 家庭裁判所に申立て審判を受けなければならない
親子関係 実親、養親ともに存在 実親との関係消滅
戸籍の記載 養子・養女 長男・長女
離縁 可能 原則できない
養子の年齢 制限なし 6歳未満
相続権 実親子間・養親子間ともに相続権がある 実親子間の相続権は消滅

※養子が未成年者で直系卑属でない場合は、家庭裁判所の許可が必要。

もともと日本には普通養子制度しか存在しませんでしたが、1973年の菊田医師事件(赤ちゃんあっせん事件)を発端に、1987年、民法改正によって特別養子制度が導入され、翌年に施行されました。同時に厚生労働省によって「養子縁組斡旋事業の指導について」という通知が提出され、あっせん事業者は都道府県や政令指定都市に、第二種社会福祉事業の業務開始の届けを提出することが義務付けられました。
施行当初は、普通養子から特別養子に切り替える申立てが多く、年間1000件を超える特別養子縁組が成立した年もありましたが、ここ10数年は年間300~400件台にとどまり、平成26年度に初めて513件と増加しました(司法統計 平成26年度家事審判事件の受理,既済,未済手続別事件別件数 第3表)。
養子縁組は、行政機関である児童相談所により里親制度の中で実施されるケースと、民間の養子縁組団体によって実施されるケースがあります。

■児童相談所による養子縁組

児童相談所を通して養子縁組となる子どもの特徴として、新生児・乳児の委託はほとんどない、委託前の面会交流期間がある、被虐待児の割合が多いということでしょう。最近では、赤ちゃんが生まれた病院から直接養親さんの家庭へ行く「愛知方式」と呼ばれる新生児委託を推進している自治体も出てきていますが、残念ながら多くの自治体ではまず新生児・乳児を施設で預かり、1-2年間実親の意向や子どもの障害・病気の有無を充分把握してから面会交流、里親委託、そして養子縁組へ・・・という流れとなっています。たとえば、平成24年度に東京都の乳児院に措置された0歳児は218人ですが、里親に委託された0歳児は2人です。
児童相談所を通して養子縁組を希望する場合、まず養子縁組前提の里親登録をする必要があります。自治体によって、養子縁組前提の里親登録のみしかできないところ(東京都)、養育里親と養子縁組前提の里親の両方登録することを推奨しているところ(愛知県)などいろいろです。また、養子縁組前提の里親の場合、里親研修が免除されている自治体、基礎研修のみ受講する自治体、基礎研修と認定前研修の両方を受講する自治体などいろいろです。なお、管轄の児童相談所から子どもの委託がほとんどない場合でも、ほかの児童相談所を通して里親登録することはできません。
児童相談所を通して養子縁組する場合、養親となる夫婦の研修、審査、あっせんに関わる費用、子どもの委託までの保育料などはすべて税金で賄われますので、養親の経済的負担はほとんどありません。

■養子縁組前提の里親の条件

平成23年3月に出された厚生労働省の里親委託ガイドラインでは、養親の年齢について、「子どもが成人したときに概ね 65 歳以下となるような年齢が望ましい。子どもの障害や病気は受け止めること、養子縁組の手続き中に保護者の意向が変わることがあることなどの理解を確認する。」と書かれています。つまり、子どもと養親との年齢差は45歳以下ということが推奨されています。ただ、実際の認定基準は自治体によって様々で、東京都の養子縁組里親の認定基準では、25歳以上50歳未満で婚姻している夫婦が対象となっており、愛知県では子どもとの年齢差が40歳程度までとなっています。

■民間団体による養子縁組

民間の養子縁組団体や医療機関から子どもを迎える場合、子どもは新生児または乳児のうちに養親に委託されることがほとんどです。委託までの間に児童相談所のような面会交流期間はありませんが、子どもが生まれた病院に何日か養親が入院して育児指導を受ける場合があります。それぞれの団体で養親となる条件があり、条件を満たす夫婦に対して独自の審査・研修を設けています。民間団体の中には、管轄の児童相談所での里親登録をまずするようにとおすすめしているところもありますので、民間団体で登録されるまでに時間を要することも多々あります。
また、民間団体は産まれてくる子どもの安全を確保するために、妊婦への対応や養親候補の面接審査等を実施していますが、事業に対して公的資金が得られないので、一般に養親側の費用負担が必要となります。団体によっても個々の妊婦の背景によっても養親の負担額や方針が違います。
民間団体や医療機関、または個人が養子縁組をあっせんする場合、事業者は都道府県や政令指定都市に、第二種社会福祉事業の業務開始の届けを提出することが義務付けられています。

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養子縁組に関する予備知識

■養子縁組にかかる費用:諸外国では?

諸外国では養子縁組にかかる費用は様々ですが、多くの国で養子縁組は産みの親と暮らすことのできない子どものための福祉としてとらえられていることから、国による補助が出ているところも多くあります。イギリス、韓国では民間団体による養子縁組は無料で行われており、韓国では養親への金銭的な支援もあります。アメリカでは民間団体による養子縁組の場合、5千~4万ドル(約50万円~400万円)の費用が掛かるとされていますが、同じく養子縁組は子どものための福祉と考えられていることから、養子縁組にかかる費用には免税措置があります。

■生みの親の親権について?

日本では産みの親が施設に子どもを預けて面会に来なくても、法律上は親権を維持し続けます。養子縁組でも里親委託でも実親の同意が必要なため、実親家庭で暮らす見込みがほとんどない場合でも、実親が同意しない限り子どもが施設で養育され続けるという現状があります。また、産みの親と暮らしたことのない子どもにも、成人したら法律上は親を扶養する義務が生じてしまいます。
アメリカやイギリスでは、産みの親が里親や施設に子どもを預けて、一定期間面会に来ないなど、適切に子どもの養護を行っていないと判断されると親権をはく奪されます。日本で養子縁組が少ないとされる理由の一つに、産みの親の親権の強さがあると言われています。

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